2024年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品される『Black Dog』(Guan Hu監督):私たちの評価

発行元 Manon de Sortiraparis · 掲載日 2024年5月18日午後02時15
グアン・フー監督の『ブラック・ドッグ』がカンヌ国際映画祭のある視点部門でお披露目された。レビューを読む

2008年、ゴビ砂漠の端。北京オリンピックの前夜、出所したラン(エディ・ペン)は故郷に戻り、そこでヤオおじさん(ジャ・ジャンクー扮、今年のカンヌ国際映画祭オフィシャル・コンペティション部門出品)と再会する。野良犬の駆除を担当する地元のパトロール隊で働いていた青年は、野良犬の一匹、グレイハウンドのような少しボロボロの黒い犬と親しくなる。この出会いが、孤独なふたりの新たな出発点となる。

ある視点」部門に出品された新作『Black Dog』では、フー・グァンはほとんど誰も見たことのない中国を撮影している。その風景は、過密な都市から遠く離れた、広大な何もない空間であり、そこでは放浪する犬たちが野生の馬のように駆け回っているミッドナイトブルーの丘と炭焼き塚に挟まれたこの月の風景の中心には、息を呑むような雰囲気と ほとんど神秘的な雰囲気が漂っている。

閑散としているが緑はほとんどない、 工業化されてない 中国。空虚と限界の空間、廃墟と化した動物園、取り壊されようとしているビル群)であり、ラングという、周囲と同じように空虚に見えるこの無言の囚人の背景として、ひいてはフー・グアンが自国のある慣習、特に犬、トラ、ヘビといった動物たちの境遇を中途半端に糾弾する背景として機能している。

誰もが自分の飼い猫を探しているとすれば、ラングは確かに自分の犬を見つけたのだ。どんな困難にも打ち勝ったこの言葉なき友情は、回復力と 社会復帰の証である。 トーテムアニマルである犬は、ラングに人間社会への新たな希望を与える。ペットでさえも家族から引き離され、家畜のように売られていく。映画の中で中国は、オリンピックが開催される前に国内の野良犬をすべて排除するために焦土化理論を適用している。

ある意味、『 ブラック・ドッグ 』は マッテオ・ガローネ監督の『ドッグマン』(2018年カンヌ国際映画祭でマルチェロ・フォンテが最優秀主演男優賞を受賞 )と対をなす中国映画といえるかもしれない。廃墟と化した町の何もない状況を揺さぶり アンチヒーローの救いをただの犬の肩に託すという点において。

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