パリは詩人や映画作家、恋する人々を魅了するだけの街ではない。首都は高級ブランドの想像力をも育てている。そして、その高級メゾンの世界観を彩るエピソードの中でも、anecdotesの最上級に位置づけられるのが、パリのモードの中でのセリーヌの“Triomphe”ロゴだ。なぜなら、このモノグラムという高く問われる欲望の象徴の背後には、パリの風景を具体的に形づくるあるディテールが潜んでいるからだ。周囲を囲む鎖という要素が、凱旋門、エトワール広場を取り囲んでいる。そう、ただの街路家具の一部が、豪華さを最もよく象徴するサインのひとつへと変貌してしまったのだ。
この物語の魅力はそこにある。インスピレーションは隠れたアトリエから来るのではなく、パリの街路にこそ宿る。ブランド Céline は、1972 年に公開された歴史的モノグラムを、motif des chaînes qui bordent l’Arc de Triomphe というモチーフと結びつけている。これ以上パリらしさを語るのは難しい。
伝説によれば Céline Vipiana はエトワール広場での車の事故のあと、この模様を思い付いたとされている。場面には魅力が詰まっている。エレガントで、ロマンティックで、ほとんど映画のワンシーンのようだ。とはいえ、このエピソードは結局、時代を超えて語られてきたブランドの物語の一部に過ぎない。
結局、最も興味深いのは、小さな衝突というよりも、その創造的なジェスチャーそのものだ。街のディテールを見つけ出し、それを転用し、スタイリッシュに整え、それを署名のようなものにする。
logo Triompheの絡み合いは、鎖のリンクと輪のモチーフ、そして装飾的な意匠を同時に喚起する。文字どおりのパリの図像には落ちず、街の息吹を伝える。アーク・デ・トリオンフを直接描くのではなく、その痕跡と響き、そして佇まいを静かに保っている。
パリでは、ありふれたものさえ欲望の対象へと変わり得る――ということだ。















